我妻はかごの中の鳥
完全に瑠璃の味方と化している周りに、にやりとほくそえんだ。
人は、心から自分の信じたものに味方し、従い、ついて行く傾向がある。
ここの人々は瑠璃に魅了した。
魂から魅せられ、信じた。
大袈裟と取られるかもしれないが、事実そうなのだ。
好きな人が悪いやつだと認めたくない現象と、酷似している。
だから味方するのだ。
周りが男を疑い始めた。
この傾向は有利である。
「…やぁ」
心なしか棒読みで拒絶を示した瑠璃。
群衆が味方についたのがわかったから、もう絶体絶命のピンチは避けられたと思ってるのか。
あとなん押しかで、この男たちは悪者と化す。
最初の柔男なんて、目じゃないくらいに。
――詰んだな。
瑠璃の勝利は決定した。
俺の助けなしでよくやった、と褒めてやらねば。