我妻はかごの中の鳥


完全に瑠璃の味方と化している周りに、にやりとほくそえんだ。



人は、心から自分の信じたものに味方し、従い、ついて行く傾向がある。



ここの人々は瑠璃に魅了した。

魂から魅せられ、信じた。



大袈裟と取られるかもしれないが、事実そうなのだ。

好きな人が悪いやつだと認めたくない現象と、酷似している。


だから味方するのだ。


周りが男を疑い始めた。

この傾向は有利である。



「…やぁ」



心なしか棒読みで拒絶を示した瑠璃。


群衆が味方についたのがわかったから、もう絶体絶命のピンチは避けられたと思ってるのか。

あとなん押しかで、この男たちは悪者と化す。


最初の柔男なんて、目じゃないくらいに。



――詰んだな。



瑠璃の勝利は決定した。

俺の助けなしでよくやった、と褒めてやらねば。



< 135 / 140 >

この作品をシェア

pagetop