我妻はかごの中の鳥





その場から逃げるように足早にレストランへ向かう。


駅からすぐなのに感謝した。

予約していた席に座り、目の前の落ち込んでる瑠璃を見やる。


「……遅くなって本当ごめん」

「…見てたでしょ」

「バレてたか」


怒ったような態度を見せるが、まあ愛らしい。


「瑠璃がどうするのかなって思ってさ」

「…」


また、落ち込んだ顔に戻る。


そんなにショックだったのか?と不安になる俺をよそに、瑠璃は頭を下げた。


「……ごめんなさい」


「瑠璃?」


「……歌月がいるってわかってなかったら、きっと私できなかった…」



俺の80点は、俺がいるという甘えからだったのか。


甘えていて、ごめんなさい。


そういう意味で、悲しそうな顔をしていたのだ。



正直いって複雑である。



甘えられるのは嬉しいが、彼女に自立してほしいとも思う。



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