我妻はかごの中の鳥
小さな甘さと小さな痺れ
すやすやと腕の中で眠る彼女に目をやった。
いつも朝一番に見るものは、きっとこの世で一番の美女だ。
ダブルサイズのベッドお構い無しに、すりすりと密着してくる。
何気さみしがりやな瑠璃は、人肌が心地よいらしく、こうしているときはえらく積極的だ。
まあ、当然…裸だけど。
またこんなに密着して、起きたとき赤くなって喋らなくなるくせに。
抱き合って眠るのは嫌いじゃない。
だから、俺も瑠璃の背中に腕を回した。
折れちゃいそうな細さに、少なからず恐怖を感じる。
たまに思うのだ。
あんまり瑠璃が綺麗だから、月から迎えが来るのではないかとか。
いつか――幻みたいに消えてしまうのではないか、とか。
馬鹿げてるとは思う。
けれど、人間はいつだって“最悪”を想像する生き物。
もしそうなってしまったら、俺はまず生きてはいけないだろう。
彼女なしでは生きられない。
今までどう生きていたのかが疑問に思うほど、俺は彼女に依存していた。