我妻はかごの中の鳥
次に薬品棚へ向かい、薬の調合。
ただの風邪だろうし、そんなに強くなくていいだろう。
市販の薬は、瑠璃にはちょっと強すぎる。
添加物だって無理なぐらいの瑠璃が市販の薬を飲んだら、たぶんその倍効いてしまう。
効きすぎてしまうのだ。
薬は効きすぎると毒になる。
だから、薬草とかを調合して作るいわば漢方を飲ませるしかないわけだ。
「…ん、と、あれ?」
乾燥させた草が入った瓶をかちゃかちゃと探る。
無いのだ、風邪に用いる香料が。
「…困ったな」
無くてはいけないわけじゃないけど。
漢方というのは苦すぎる。
味はなんとか我慢ができるらしい瑠璃は、匂いがダメで香料を用いらないと飲みたがらない。
ぶんぶんと首を振って拒むのだ。
確か、まだストックが瑠璃の実家に置いてあった気がする。
なにがあってもいいようにあの香料だけは大量に買って、瑠璃が前に住んでいた家に置いてあった
「……」
だけどなあ。
今実家に住んでいるアノ人に持ってこさせると、色々と…
「背に腹は変えられないか」
携帯を取りだし、電話をかけたのだった。