我妻はかごの中の鳥
◇◇◇

お粥を作っていると、瑠璃がむくりと起き上がった。


「……?」


とろとろの目付きに上気した頬。

真っ先にエロいと思ったが、その次にちゃんと、ああ熱があるのか可哀想に、という感情がきた。

瑠璃は、なにがなんだかというような顔をしている。


そりゃ、起きたらなぜか服やらアイスノンやら氷枕やらがあるし、驚くのは当然。

呆然と宙をさ迷い、ふわふわと俺を見つける瑠璃の視線。


「……」


「熱が出てるんだよ」

火を止めて、瑠璃のもとへ。

頬に手をやれば、まだ熱い。


「今お粥作ってるから。それ食べてまた寝な」


頭を軽く撫でると、ふわふわの瑠璃の髪が光を弾いて揺れた。

「歌月、仕事」

「有休」

「…!」

ありえない、というような顔をする。

いやだって…瑠璃のお兄様にも言われたんだ、ちゃんと瑠璃を守れって。

「…やだ、だめ」

行け、と言いたいらしいけど、感情が先に出ちゃってて会話になってない。


「だめ。瑠璃は普通じゃないんだから」


「…」

むぅ、と唇を尖らせた…ような気がする。
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