我妻はかごの中の鳥
瑠璃との結婚の条件の一つに、『守る』というのがあった。
いや、当たり前だけどちょっと違う。
瑠璃を守る全ての事を片っ端から学び、守れと。
瑠璃はそれだけの人間なんだから、それぐらいしろと。
いくら風邪でも、有休くらいは取らなくちゃならない。
「……なんかやな匂いがする」
「薬作った」
う、と露骨に嫌そうな顔をする…気がしたが旗から見れば、無表情だろう。
「…香料は」
「ない」
「……え」
この世の終わりみたいに悲しそうな顔をする瑠璃に、なんだか申し訳なくなってしまう。
でも飲んでもらわなきゃならない。
もっとひどい病気にでもなったら、病院にいかなくてはならない。
そうしたらきっと強い薬を出されて死んでしまう。
普通じゃないとはそういうこと。
簡易療法しかできないから、それを全力でやる。
じゃないと、瑠璃は危ない。
死ぬのだけは困るのでなんとかして飲んで貰わねば。