我妻はかごの中の鳥


がちゃ、とドアを開けた瞬間である。


「瑠璃瑠璃瑠璃瑠璃っ!!!」


狂ったように名前を叫びながら、部屋へ飛び出す一人の人間。

俺がいないなら一人で食べよう、とスプーンをもってはふはふしていた瑠璃は、ぎょっとそいつを見据える。

そして相手を認識した2秒後には。


「瑠っ璃ぃいいいいっ」



そいつは瑠璃のベッドへダイブを決め込んでいた。

当然、俺がよこから蹴りあげてベッドとは違うところに落下させる。


勢いよく顔面で床と接触した彼を忌々しげに瑠璃は見つめた。



「…お兄ちゃん、なんで」



そう、彼こそ瑠璃の偉大なる兄――白龍伊織である。


証拠に髪の毛はさらさらの白髪だし、目の色は綺麗な空色。

外国人みたいな顔立ちは、かなりの好印象をもつほど柔和で…俗にいうイケメン。


「瑠璃ちゅわあんっ!大丈夫?大丈夫?うわあアイスノン姿すら愛らしいなんて…写真!写真は何処(いずこ)に!?」


お分かりいただけただろうか。

初っぱなからうざさ満開の伊織は、まごうことなきシスコンだ。
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