我妻はかごの中の鳥

「俺が呼んだ」


「……こんなの呼んだら病気になっちゃう」


「まあ、それも十分考えたんだけどさ。こいつ変なシスコン菌とか持ってそうだし」

「…嫌だなあ、キモい」

「あぁ…瑠璃に差別的に見つめられるなんて幸せですぅ」


もう可哀想な人だ。


「こいつには香料頼んだんだ。うちの切れてて、実家にならあるだろ?」


「…香料」


パァ、と顔が輝く。

あの臭いの嗅がなくて良いんだ、とウキウキ……しているように見えるが世間一般的には無表情の部類に入るだろう。


「…お兄ちゃん、香料だけ置いて帰って」

「えぇ!?そんな非情な――お兄ちゃんは瑠璃が心配で…」

「…いい」

ぷい、と顔を背けて。


「…私には歌月がいる、もん」


伏し目がちに、照れを隠して。

なんとも可愛いことを言いやがったのだ


顔が赤くなったが、バレたくないため伊織の鞄に近づく。

香料――ハーブのようなそれを抱えて。


「調合してくる」


熱い顔でそう言った。
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