我妻はかごの中の鳥
瑠璃が寝静まった。
はあ、とたまに呼吸が乱れるが、それ以外はすうすうと眠っていた。
「歌月、どーゆーことか説明してくれるよね」
中味は紅茶のコーヒーカップを口に運ぶ伊織。
いつもの食卓が優雅に見えるほど気品がある彼だけど、今は威圧的。
理由は愛妹の風邪だ。
「…試験勉強で、居眠りして風邪ひいたっぽい」
「…ちっ」
わかりやすくイライラした。
拗ねたような、気に入らないと言うような顔は、若干瑠璃に似てる。
「風邪だったからよかったけど、ふざけんな。ちゃんと管理しろよ」
「…悪ぃ」
「今瑠璃に何かあったらお前のせいだから」
「わかってる」
「俺らはいつでも連れ戻せるんだから。瑠璃を実家に」
覚悟しておけ、呟くように言う脅迫。
シスコンな一面からは想像もつかない。
王者、と言うべきか。
上のものと見せつけられたような、そんな態度。
白龍に仕える身なのだと。
そう実感した。