我妻はかごの中の鳥
◆◆◆


看病疲れ。


「……」


私が起きたらお兄ちゃんは消えていて、歌月は眠っていた。

ベッドにもたれかかるようにして。


「…ベッドに入ればいいのに」


ぐっすり眠った私は、大分熱が下がった…気がする。

計ってないしわからないけど、起き上がる時頭がスッキリしていたから。


でもまだ本調子ではないから、もう少し眠ろう。


そう思ったときだった。


RRRRRR、と電話がなったのは。


「……」

ちら、と歌月を見る。

すぅすぅと腕の中に顔を埋めて、心地よさそうに眠ってる。

仕方がない、行くしかないか。

人見知りの私は、できるだけお兄ちゃん系の生き物からの電話を望みながらいくが、電話の前まで来てそれが砕けた。

「…?」

知らない番号。

つい歌月に頼りたくなって見てしまうけど、ううんと首を振って電話と向き合う。

たかが電話、されど電話。

頼ってばっかじゃいられない。


昔、私は一人だった。

今は違うとはいえ、あの頃は全部自分で背負っていた。


今日の朝、思ったのだ。

風邪を引いたことさえ気づかないうちから、看病されていて。

ああ、依存している、甘えてると――


< 29 / 140 >

この作品をシェア

pagetop