我妻はかごの中の鳥
夕飯にうどんを作った。
瑠璃が好きな、野菜がたくさん入っているやつ。
「瑠璃、夕飯作ったんだけど」
「…」
瑠璃は起きなかった。
仕方なく、一人でうどんを啜り。
「あ、そうだ」
思いだしたので親父に電話。
医者…のような家系な俺の家。
香料を頼んでおかなくちゃならない。
特殊なルートがあるらしいけど、今絶縁状態だし、関わりないし。
嫌な電話番号に通知ボタンを押す。
「もしもし…親父?」
『か、歌月か!?』
初老のおっさんの声が耳に広がる。
『いやぁ…ひっさしぶりだねぇ…瑠璃さんとはどう?仲良くして』
「その瑠璃が使う香料を所望。郵便でいいから送れ」
ブチッと切る。
馴れ合うつもりはない。
小さい頃はそれなりに仲良かったけど、もうあんなの、知らない。