我妻はかごの中の鳥

親父――日向尚隆についてここで語る必要はない。


今はそんなことより、瑠璃だ。


明日はどうしよう。


休めるだろうか。


いや、社会人としてちょっとヤバイと思うんだよ。さすがに。

でも瑠璃は心配。


「あああ…」


悩みに悩む

やっぱり伊織を呼ぶか。

しかしアイツに看病なんて高等技術できんのか?


「背に腹は変えられないか…」


ベッドに腰掛け、そっと頭を撫でる。

絶対に熱が上がってきてる。


心配。とっても。


苦しそうに呼吸を繰り返す彼女を見ると、胸が締め付けられる。

鼻の奥がツンと痛み、切なくなる。


可哀想、変わってやりたいと切に思う。


「…」

でも変われないので。


「伊織、瑠璃の熱が下がりそうにないから、明日も来てくれない?」

『あー?休めよ仕事』

「世の中、お前みたいにみんながみんな暇人じゃないの」


作家のお前にはわからないだろう悩みだ。


でもまあ、シスコンの彼は了承してくれたため、安心と言えばとっても安心。

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