我妻はかごの中の鳥
階に降りて席に向かうと、たまたま彼女と目があった。
むろん飯塚だ。
ふ、と目をそらすが、視線を感じた。
なんだ、やけに見てくるな。
怖いなあ、なんて思いつつ、瑠璃を浮かべる。
あいつ、大丈夫かな。
何気にさみしがりやだから、死んでないといいけど。
そこらへんは伊織がカバーしてんだろ。
とにかく、今日は仕事をしないと。
4歳年上の身としては、瑠璃を満足に食べさせてやりたい加護欲がある。
「聞いてよ、日向さんと一緒にエレベーター乗っちゃった」
「三好さん本当好きですね…ダメですよ、あの人は観賞用なんだから」
「真面目だよねぇ」
「…遊んでもらいたいって女の子たくさんいるのにね」
「あ、それで思い出したけど飯塚さんがね…?」
俺がもし、隅っこで行われてたこんな会話を聞いてたら。
もう少し、瑠璃を泣かせずにすんだのだ。