我妻はかごの中の鳥
『やっと繋がった…会社めんどい……』
確かにお前作家だもんな。
『…じゃなくて!る、瑠璃が!』
「熱上がったからって勝手に薬飲ますなよ」
『違う!そんな単純な事じゃない!』
切羽詰まった、泣きそうな声で。
『るる瑠璃が、消えたんだ!!』
「――な、」
たぶん、他の人からみたら一発でわかったと思うほど、血の気が引いたのがわかった。
「てっめぇ!なん…なんで瑠璃から目を離した!」
『聞いてくれ…アイツ、睡眠薬使ってきて、そのすきに』
今にも泣きそうな伊織の言葉に嘘は見当たらない。
二人は兄弟だ。
血…というか性質が同じで、彼も薬がとっても効きやすい。
たぶん俺の薬品棚を全く知らない訳じゃない瑠璃は、勝手に持ち出したのだろう。
分量もなにもわかってないくせに。
瓶を開けるのすら辛いくせに。