我妻はかごの中の鳥
「…最後瑠璃を見たとき、熱は?」
『38度軽く越えてた気がする』
まじかよ…。
それで外に行ったっていうのか。無茶すぎる。
「…とにかく、電話とかして探してみる」
雲をつかむようなものに見えるが、案外それで見つかったりするし。
『俺は…?』
「お前はまだ完全に睡眠薬が切れてないから、家にいろ。もしかしたら瑠璃が帰ってくるかもしれないから」
『…ああ』
負い目からか素直に従う。
当然だろう、彼のシスコンぶりから見て。
電話を切って、三好さんの元へ向かう。
「あ、日向くん。どうかした?」
「すみません、ちょっと出ていいですか?」
「えっ?」
驚いたのか、目を大きく見開く。
「なに…どうしたの?お昼さっき食べてたじゃない。もうお昼休み終わっちゃうし…」
そりゃあそうだ。
社会人にあるまじき行為。
「本当にすみません。
その、家内が一大事で…」
パサ、と持っていた書類を落とし、あんぐりと口を開ける。