我妻はかごの中の鳥
「お嬢様?ふざけないでくださいっ…
彼女を愚弄するものは、片っ端から殺しますよ」
そう言えば、悲しそうに笑った。
「…愛されてるんだ。私とはちがって」
「彼女はこういう汚い真似はしませんので」
飯塚の左手を掴むと、あげた覚えのない婚約指輪。
瑠璃を傷つけるのに十分なそれを外して投げ捨てる。
「目、いいんだ」
「そんなことより、彼女を」
「知らない」
にや、と悪に満ちた笑み。
魂胆があるとかじゃない、しったことかと言うような。
「…わかった」
振り向くこともせず、喫茶店を出た。
…ずっと彼女の視線を感じた。
もう一度駅前に出る。
もう電車に乗ったんだろうか。
なら家に帰っててもいい時間なのに。
携帯で瑠璃に電話をかける。
「…」
出ろ、出ろ、出ろ。
電波にのって念を送った。
――…♪
「っ、」
なんだ、今の。
どこからか瑠璃の携帯の音楽が――…
――♪〜♪…
また、微かに聞こえる。
近くにいるのか!?