我妻はかごの中の鳥
「…流行りの服に、流行りのお化粧。…私みたいになんもないわけじゃない」
「瑠璃」
よく喋る。
めずらしいくらいに。
「…歌月が好きになったのがわかる人だった」
こんなときでも無表情。
――そうだ。
彼女の無表情は、自分を殺した結果のものだ。
幼少期から今まで。
感情のままにぶつけることをやめたから、生まれたものだった。
真っ先に自分を殺す彼女。
たぶん、俺を怒るとか、裏切られたとか。
そんなことより『私のせい』だと思ってる。
俺が彼女を笑わせてないわけじゃない。
瑠璃が笑わないんだ。
瑠璃が笑うのなんて一年に一回二回あるかないか。
泣くのなんて風邪の日くらい。
「…婚約指輪みたの?」
こくんと頷く。
きっと、覚悟を決めてる。
けど、全部嘘なんだよ。