我妻はかごの中の鳥


ぎゅう、と細い彼女を抱き締める。

ふわりと香る瑠璃の匂い。

骨があるのか不安になるほど柔らかい体。

それを腕の中に閉じ込めた。


「嘘はダメでしょ」


「……」

ぴくんと肩が上がる。

後ろから抱き抱えたから表情はわからない。

けれど、きっと冷ややかな無表情を赤く染めているんだろうな。

予想はつく。


「……」


逃れたいらしく、俺の腕を掴んだ。

ほどこうとしているとわかったから、ますます力を入れて瑠璃を抱き締めた。



本当は、もっと強く抱き締めたい。

彼女が動くたび、見つめるたび、胸がくすぐられるように体が痺れる。

それを瑠璃に触れることで、まぎらわしたかった。

癒したかったのだ、このくすぐったさを。


だけど、抱き締められた相手の痛みを俺はわからないから。

俺が力を加えれば、当然彼女は痛くなる。


辛い思いを一方的にさせる奴にはなりたくなかったから。


そっと腕を離した。


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