我妻はかごの中の鳥
「…心配だな」
「な、にが…」
「――あれ、全部虚言」
俺なしでこいつは生きてける?
こんなに純粋で、単純で、おバカで。
そんな魅力が真っ黒に染めたがるこの世界で、こいつは生きてけるのか?
「きょ、」
あんぐりと。
どこか間の抜けた無表情をした。
ああ、唇を塞いじゃいたい。
「…信じないならキスする」
「…ゃっ…」
急いで口許を手で隠す。
「……風邪が、移っちゃう…」
恥ずかしいとかじゃなくてそっちか。
きゅ、と胸が抱き締められる。
心臓がくすぐったい。
焦らされたような感覚に苦しむ俺を、こいつはたぶん全く理解してない。