我妻はかごの中の鳥
もくもくと口の中で恍惚とキャラメルを転がしていた彼女は、ふと隣に座る俺を見つめた。
つい俺も見つめ返す。
紺のかけ布団を胸元まで手繰りよせ、キャラメルの箱を抱き締めてる瑠璃の光景はなんだかちぐはぐだ。
妖艶なんだか、幼稚なんだか。
パカッとキャラメルの箱を開け、綺麗な一粒を手に取り見つめ出した。
さすが、高いだけあって一つ一つが芸術品。
瑠璃が見つめるのもわかる気がして、綺麗だねと言おうとした時だった。
「…っ、」
突如、俺の口の中に広がる甘味。
瑠璃が俺の口にキャラメルを入れたのだ。
食え、という事なのだろうか。
優しい瑠璃は、美味しさを共用したかった…のか?
強引だけど可愛いやり方に、ありがたく頂こうとした。