我妻はかごの中の鳥


刹那。



「るっ、り」



いきなり、瑠璃が俺にのし掛かってきた。

胸板に細い手をあて、正面に顔を合わせ――キス。


突然の出来事に、驚きが隠せない。


コロ、とキャラメルが瑠璃の舌により手繰りよせられ、彼女の口内に入っていく。


そっと瑠璃が離れ、元の指定位置に戻った。



「な、瑠璃!」

「……」


白髪から覗く耳を真っ赤にし、何事もなかったかのようにキャラメルの箱を抱き抱える。


無表情だけど、頬も真っ赤…


きっと、瑠璃の中では羞恥のオンパレードなんだろう。


「やられた…」

なんなんだこの生き物。

猫かと思えば豹にだってなる。


「…♪」


してやったり、と言いたげな無表情が、酷く愛らしかった。



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