我妻はかごの中の鳥

歌月大好きな瑠璃が、奴にそんな風に言われたら、きっと言いつけを守ってしまうだろう。

そうなったら終わりだ…俺の未知なる瑠璃わーるどが狭まっちまう。

酷いよ歌月くーん、と泣きつこうとしたときだ。


『え?』


急に歌月のそんな声が聞こえた。

『や…だから、あれは……
瑠璃?おーい…?』

なにやら瑠璃と話してる模様。

珍しく歌月が焦ってるので、音量を大きくしてワクワクしながら耳をすませる。


『…あのな、あれには訳があって…キャラメルが一番っていったお前もだな…

や、だから…その、ごめんって。
キャラメルはちゃんと食わせたろ?

るーりー…』


会話の意味がわからない

なぜキャラメルが乱入?


『仕方ない…伊織、ちょっと待ってろ』


「え?ちょ、」

お説教よりも瑠璃ですかい。

ぶちりと通話が切られ、見えない妹と親友のいちゃいちゃを想像する俺である。


――なんだかんだ言って、俺ら兄弟は歌月に尻に引かれてるような…
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