月の恩返し
そんなある日の夜のことだ。
仕事場のマンションで、フィルムの整理をしていると、玄関のインターホンが鳴った。
誰だろうと思って、玄関へ行き、ドアを開けると、おれは目を丸くした。
ドアの前に、何やら巨大な球体が浮かんでいたのだ。
「何だこりゃあ?」
ぼうぜんとしていると、その球体から、きれいな女性の声が聞こえてきた。
「こんにちは、月です」
「はあ?」
「月です」
「え?」
「いや、だから月ですって」