多分、君は僕のことが嫌い。
***
「あれ…?
あぁ、眠ってたのか…。」
いつの間にか周りは騒がしくなっていた。
フェンスに近づき、下を見下ろす。
校庭には友達と一緒に登校してくる僕と同じ制服に身を包んだ生徒がたくさんいた。
携帯を取り出し時間を確認する。
画面には、7:50と表示されていた。
"そろそろ教室戻んなきゃだよな。"
今はなんとなく教室には行きたくない気分だった。
ポタリ…。
僕の手に落ちてきた一滴の雫。
そこでやっと気づいた。
自分の頬が涙で濡れていることに。
「あはは…。
あぁ〜あ、ほんと、ダサいなぁ僕。」
弱くて脆すぎる自分に呆れてしまう。
どうして僕はこうなんだろう。
強くなりたい強くなりたいと言いながら
結局は弱いまんまなんだ。
ひとりぼっちだと泣きわめくことしかできない。
自分の感情を泣くことでしか表現できない赤ん坊のようじゃないか。
そう理解していても変化が怖い。
変わってしまうことで自分がなくなってしまうんじゃないかと恐れてる。
あぁ…、だれか助けてくれ。
この深くて暗い海の底から引っ張りあげてくれよ。
ここは寒いんだ。
淋しいんだ。
こんなところに一人でいるのはもう無理なんだ。
でも、誰かに助けを求めるなんてことも
できない。
助けを求められる人がいない。
みんな僕自身のことを見ようとはしない。
顔、体格、成績、親の職業……。
そんな上っ面のことにしか興味ないんだ。
だから、僕は誰のことも信用しない。
一人は寂しいけど、誰かと一緒にいる気にもなれない。