哀恋 アイレン
「……。」

「……。」

さっきから俺は、どうしようか迷ってた。

隣に居るんは普段から仲の良い女友達。

傘を忘れた俺達は酷い雨に帰れず雨宿り中。

…やねんけど、なんでか一向に話してくれる気配がない。らしくないそのうつ向いた顔を、どしゃ降りの雨音に眉をしかめながら見つめる。

「…雨、止まんなぁ。」

どうにかして笑って欲しくて、わざとふてくされたように言うと顔を上げて軽く頷いてくれた。

「雨男なんちゃうー?」

雨のせいなのか、普段よりかは元気のないその声が耳に届く。

「なんでやねん。」

思わず突っ込んだ俺に楽しそうに笑ってくれた。

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