哀恋 アイレン
2,悪口―ワルクチ
「…あほ。」
呟いた声は、
真っ暗な闇に吸い込まれてった。
――悪口。――
あれからどれくらい経ったんだろうか。
もう分からない、
解りたくない。
出て行った後ろ姿に、振り返って欲しいなんて思ったけど。
最後まで優しい貴方はドアをゆっくりと閉めた。
まるで怒りさえ、
まるで悲しみさえないように。
自分勝手やんな、そんな様子にあたしはめっちゃ哀しくなった。