哀恋 アイレン

こんな時には、必ず頭を撫でてくれた大きな手が
耳をくすぐる低い笑い声が


「好き、好きや…」


ちょっとおどけたような口調も
ふと見せる真剣な横顔も


「………好き…っ。」

ごめん、

意地っ張りが邪魔してた。
ただそれが言えなくて。

好きやで、

恥ずかしくて
くすぐったくて
ただそれを返せなくて。

"自分"を崩すんが怖かった。

…こんなに好きやのに。

< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop