彼女の非道
ただいま、と言っても返事がない。


しかし靴はある。


嫌な予感しかしなかった。


あの時父の命を奪ったあの日、私自身も平気なはずがなかった。


たった一人の父。

そして家族。


悲しいに決まっている。


小学生でもそのくらいはわかる年頃。


だからもう二度と失いたくなかった。


自分の家で、二度とあんな光景見たくなかった。



家中探した。


そして最後…私が父を殺めた部屋。


行くのを拒んだが母を探しているため時間がなかった。


もしかしたらここにいるかもしれない、そう思ったからだ。


力を込め、ゆっくりとドアを開く。


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