彼女の非道


どれくらい経っただろうか。


あの後、おぼつかない足取りで電話の前まで行き救急車を呼んだ。


そのままあの部屋に戻り、ただ見つめていた。


そして母に近づいた。



「こ、は…く?」

「ぇ…おかぁ…さん?」


死んだと思った母はまだ息があった。


しかし声など私には聞こえない。



口が動いたのだ。



それでなんとか母の言っていることを読み取ろうとした。



「琥珀、よ、く…きいて…?」

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