甘い時 〜囚われた心〜
西條を見る目は冷たく鋭い。

「桜…華…?」

腕の中にいる心配そうな雛子に、目を細め笑った。

今までにないほど柔らかく優しい笑顔。

「もう無理…限界…」

そう言って優しくキスをした。

「桜…華」

「帰ろう?」

雛子の目に涙が溢れていく。

「でも…桜華の邪魔に」

「ならない。俺にはお前がいない事の方が問題なんだ…」

雛子の手が桜華の頬に触れた。

ヒヤリと冷たい。

桜華は、優しく微笑む。

雛子の腕が桜華の首に絡まる。

桜華は祐希奈を見た。

「数日中に、そちらに行く。話がある」

「こんなことして…」

祐希奈の顔が悔しさで歪んでいく。

晋也の方も見ると、怒りで目が座っている。

桜華は軽く頭を下げ、会場を後にした。
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