無垢な瞳
「おまえたち、よくがんばってきたな。この数ヶ月の間、おまえたちをみてきたけれど、先生はこのクラスの受け持ちでよかったなって心から思っている。何度もピンチがやってきたけれど、そのたびに違う方法を考えて乗り越えてきた」

芝山は教壇に立ち、一人一人の顔をしっかりと見つめる。

「卒業したら、みんなばらばらになる。学区の中学に行くやつらはまた会えるだろうけれど、受験組はめったに会えなくなる。今度のクラス発表は、6の1が全員でなにか成し遂げる最後の機会になるだろう。そのことを忘れずに、本番を迎えてほしい」

いつもは茶々を入れるユウキも下を向いている。

芝山の言葉が胸に染み入る。

それぞれがそう遠くない未来を意識していた。

< 108 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop