無垢な瞳
コウの母と最後の打ち合わせをするために、アキと二人で帰りに寄った。

「アキちゃん、本当にがんばってくれたのね。ありがとう。本当にありがとう」

コウの母はアキが作ったシナリオに目を通すと、こみ上げてくる感情を抑えきれず、アキの手を強く握った。

「おばさんが、構造化のこと教えてくれたから‥‥。そうじゃなきゃ私もこんなふうに作ることなんてできなかった」

アキも感慨深げに応える。





部屋の隅に小さなクリスマスツリーが飾られていた。

電飾が遠慮がちに点滅している。

もうすぐクリスマスだ。




「ちょっと聞いてもいい?」

コウの母がためらいながら切り出した。

「二人のところには今もサンタクロースは来るの?」

アキはにっこり笑った。

「ええ、来ますよ。もちろん!私はイブの日にサンタクロースに会いに行くんです」

「会いに行く?」
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