無垢な瞳

教室に着くと、もう既に数人が登校していた。




「おはよう!ケン、いよいよだな」

ユウキがケンの腹に軽くパンチを入れた。

「おう、気合いいれてけよ!」

「あのさ、俺たち受験組からちょっとしたものなんだけどプレゼントがあるんだ」

ユウキが黒板の方を向いて合図した。

サオリとユウコがダンボールを持って現れた。

「じゃーん!」

二人は少し照れたような顔でダンボールの箱を開けた。

サオリがその中の一つを取り出して、ケンに手渡した。

「これは?」

黒いTシャツに大きな四つ葉のクローバーが貼られている。

「幸せの四つ葉のクローバーよ」

サオリがはにかんだ。

「俺ら受験組はほとんど手伝わないでまかせっきりだったろ。だから俺たちにも何かできないかって、相談していたんだ」

ユウキが照れくさそうにTシャツをひろげた。

「母ちゃんにも相談したら、衣装を作ったらって。それなら母ちゃんたちの力も借りながら、ちょこちょこっとやれるし。それに、何か形に残したかったんだ。俺たちの思い出って言うか‥‥」

「ユウキ‥‥」

ケンはもうこれ以上言葉にならない。

「6の1の全員が、そしてコウくんが、先生が、みんなみんな幸せになろうって。今日ここで誓うの」

ユウコが言った。
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