無垢な瞳
最後のサビの部分に入る。
すると今まで演奏に専念していたコウが立ち上がった。
コウの肘が当たり、パーテーションが倒れた。
会場は小さなざわめきで包まれた。
しかしそれは一瞬で終わり、後は感嘆のため息でいっぱいになった。
立ち上がったコウは、そのまま平然とピアノを弾きながら歌いだした。
いつの間に覚えたのだろう。
完璧な発音で完璧な歌詞を、そして魂に響く歌声で僕らの合唱を牽引した。
僕は初めてコウの歌声を聞いた。
変声期を迎えていない、美しいボーイソプラノ。
カレンのCDを何度も聞いたのだろう。
その歌声はカレンそのものだった。
僕は目を閉じた。
そしてコウの美しい天使の歌声に陶酔していた。
パーテーションが倒れたことで会場の様子がつぶさに見える。
口を開けて演奏を聞く低学年の子達。
涙を拭くことも忘れて演奏に聞き入る大人たち。
コウの母が見える。
コウと一緒に歌っている。
そしてそこから少し離れたところにケンの母の姿が見えた。
よかった‥‥。
母さん、来てくれたんだね。
ありがとう。
すると今まで演奏に専念していたコウが立ち上がった。
コウの肘が当たり、パーテーションが倒れた。
会場は小さなざわめきで包まれた。
しかしそれは一瞬で終わり、後は感嘆のため息でいっぱいになった。
立ち上がったコウは、そのまま平然とピアノを弾きながら歌いだした。
いつの間に覚えたのだろう。
完璧な発音で完璧な歌詞を、そして魂に響く歌声で僕らの合唱を牽引した。
僕は初めてコウの歌声を聞いた。
変声期を迎えていない、美しいボーイソプラノ。
カレンのCDを何度も聞いたのだろう。
その歌声はカレンそのものだった。
僕は目を閉じた。
そしてコウの美しい天使の歌声に陶酔していた。
パーテーションが倒れたことで会場の様子がつぶさに見える。
口を開けて演奏を聞く低学年の子達。
涙を拭くことも忘れて演奏に聞き入る大人たち。
コウの母が見える。
コウと一緒に歌っている。
そしてそこから少し離れたところにケンの母の姿が見えた。
よかった‥‥。
母さん、来てくれたんだね。
ありがとう。