無垢な瞳
「今年度の優勝は、6の1の『トップ・オブ・ザ・ワールド』です」

「うわーーーーーーーーっつ!!!!」

会場が歓声で震えた。

みんな飛び上がって喜んでいる。

椅子に立ち上がって、Tシャツを脱ぎ頭上で振り回している者。

隣の者と抱き合い涙を流す者。

呆然と立ち尽くし、信じられないという顔をしている者。

僕とアキはがっちり握手をした。

「ついにやったね」

僕らは汗と涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔でお互いの勝利をたたえあった。



校長先生は続けた。

「おめでとう、6の1のみんな。本当にすばらしかった。私がいちばん感動したのは、みんながそれぞれ一人の人間として表現しあっていたことです。君たちのおかげで、私たち大人がバリアフリー、障害理解と、理屈で教育しようとしていることに気がつきました。自分らしさを認め合って、ありのままでの自分を繕うことなく、まっすぐに努力するすばらしさ。君たちに教えられました。本当にありがとう!」

校長先生は泣いていた。

涙声で後半ぐちゃぐちゃになってしまったが、言いたいことはよく伝わった。

そして会場にいるほとんどの人たちもぐちゃぐちゃの顔で聞いていた。

この空間にいる全ての人が同じ気持ちを共有しているに違いなかった。



ただ一人、芝山先生以外は。
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