無垢な瞳
先生、何言ってるの?



ケンは芝山が言っている意味がわからなかった。




「やだあ、先生冗談きついですよ」




母さんは、ほらすぐそこで、体育館で、僕らの演奏をずっと見ていたじゃないか。

僕らのステージを本当に嬉しそうに目を細めて見ていた。




「ケン‥‥」

「だって、母さん客席で僕たちの演奏を聞いてたんですよ。死んだなんてありえない‥‥」

「ケン、先生が付き添うから‥‥。一緒に行こう」

「信じられるわけないじゃないですか」

膝の力が抜けた。

体が床に落ちていくのがわかった。

芝山がケンの体を支えた。





母さん‥‥嘘だろう?
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