無垢な瞳
「そう言われたか」

父は喪服のままベッドに横たわった。

天井を見つめたまま父は続ける。

「で、おまえは決めたのか」

僕が祖父母の家で暮らすことを決めれば、父はほっとするだろう。

父はまた普通の暮らしに戻ることができる。

「ここはいいところだね」

父は何も答えなかった。

黙ったまま天井を見つめていた。

僕は母さんのレコードの棚を探すような振りをして、父の視線を遮っていた。

本心を悟られまいと必死だった。

「望まれたところで暮らすのも悪くないかなと思って」

本当は父の反応が見たかった。

もし僕が父と暮らしたいと言ったら、父はどんな顔をするのだろう。

しかし、僕は振り返ることすらできなかった。
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