無垢な瞳
八年前‥‥。

あのクラス発表のあと、新聞でコウのことが大きく取り上げられていた。

「ハンディキャップを持つ天才少年」と紙面に見出しが踊った。

いくつものプロダクションがコウで金儲けをしようと躍起になり、コウの母の元を次々と訪れた。

しかしどんなに金を積まれようとどんなにうまい話を持ってこられようと、コウの母は頑として首を縦に振らなかった。

そしてたまに顔を出すアキに言った。

「アキちゃん、いつかコウの事プロデュースしてよね。アキちゃんなら安心して任せられる。金儲けに目がくらんだ大人たちにコウのこと、預けられないわ」

コウの母はどこまで本気で言っていたのだろう。

もとはと言えば、アキが自分から言い出したことではあったが。

しかし、アキはずっと機会をうかがっていた。

自分の手でコウのデビューを実現させたい。

大学生となった今、事業に本格的に取り組めるようになり、今がその時期だとよくわかっていた。

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