無垢な瞳
「僕も!」


そう言うと、満面の笑みを抱いたコウが飛びついてきた。

三人ははじけるように笑い声をあげ、抱きしめあった。



「おばさん、コウは?」

コウの母は微笑む。

「驚いたでしょ。八年前では考えられなかったわ。そんなふうに触れ合えるようになるなんて」



ハンディキャップを抱えたコウは人に触れられることも嫌がった。

抱き合うなんて考えられない。

そのコウが、今、再会を喜び自らその思いを伝えようとしている。

ぎこちなさはあるが、その思いはひしひしと伝わってくる。



思いは伝わる。

どんなに稚拙で下手であろうとも、伝えたいという思いが本物なのであれば、きっと伝わる。
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