無垢な瞳
ケンは沢村にアドバイスされたとおり、紙にマジックでこう書いてみた。
『×今日は軍隊行進曲はやりません』
『○今日は子犬のワルツをやります』
コウはそれをじっと見ると、声に出して何度も読んでみせた。
ピアノの下に潜ったまま、独り言を言うように何度も何度も繰り返した。
頃を見計らってケンは言った。
「今日は子犬のワルツをやります」
ケンはおそるおそる弾き始めた。
愛らしい子犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回るような、かわいらしい曲。
僕はリズムに乗り、鍵盤の上を踊った。
またこの前のように、コウが拒否するかもしれない。
その不安はかき消せないまま僕は弾き続ける。
ピアノの下にいるコウを意識しながら祈る気持ちで弾き続けた。
結局、コウは演奏を途中で遮ることなく、楽しそうにピアノの下で揺れていた。
そして演奏が終わると、こう言った。
「もう一回やります」
よかった、うまくいった。
ケンはこの作戦がうまくいったことで悦に入っていた。
そしてコウに催促されるたびに、『子犬のワルツ』を弾き続けた。
『×今日は軍隊行進曲はやりません』
『○今日は子犬のワルツをやります』
コウはそれをじっと見ると、声に出して何度も読んでみせた。
ピアノの下に潜ったまま、独り言を言うように何度も何度も繰り返した。
頃を見計らってケンは言った。
「今日は子犬のワルツをやります」
ケンはおそるおそる弾き始めた。
愛らしい子犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回るような、かわいらしい曲。
僕はリズムに乗り、鍵盤の上を踊った。
またこの前のように、コウが拒否するかもしれない。
その不安はかき消せないまま僕は弾き続ける。
ピアノの下にいるコウを意識しながら祈る気持ちで弾き続けた。
結局、コウは演奏を途中で遮ることなく、楽しそうにピアノの下で揺れていた。
そして演奏が終わると、こう言った。
「もう一回やります」
よかった、うまくいった。
ケンはこの作戦がうまくいったことで悦に入っていた。
そしてコウに催促されるたびに、『子犬のワルツ』を弾き続けた。