約束




微かな声で、

「大翔…ありがとな…お前といれて…幸せだった…」

大翔さんは、顔を隠したまま病室を出て行った。

涙を見られたくなかったのだと悟った。

「叶、大好きだよ…ごめんな…やっぱり俺じゃ…」



龍の手を握る。



「会えて…よかった…抱きしめていいか?」

「うん。」



寝ている龍に寄り添うと、弱々しく抱きしめてくれた。


「大翔に、元気でいろよって伝えてくれ…あと…母ちゃんの見舞いも頼むと…」

「うん…」

「叶…恋人らしいこと何もしてやれなくてごめんな…でも、叶に出会えて…幸せだった…約束……ごめんな…でも…あの日と…気持ちは…変わらない。」

途切れ途切れだけど、かすれて僅かしか出ていない声だけど、必死に話す龍。

全てを悟ったように話す龍の苦しみがジクジクと胸に突き刺さる…


はらはらと舞う雪に龍がさらわれていくようで、

「待ってよ…おいていかないでよ…」



そんな願いも虚しく…


規則的気に鳴ってた電子音が一定の音を刻む…



ピーーーッ






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