無声な私。無表情の君。
取り敢えず、私はメモ帳の白紙のページに

【今日はぶつかってしまってごめんなさい。メモ帳ありがとうございました】

と書いて、彼に見せた。

「.........」

顎に拳をくっつけて考えている。
そう言えば私の事、勘違いしてるんだっけ?

【耳は聞こえるので普通に話してくれて構いません】

「.....そうか、こっちこそ朝はすまなかった。何処か怪我しなかったか?」

フルフル

ニッコリ笑って顔を横に振った。

「なら、いい....」

【それでは、さよなら】

よし、やるべき事は全て終えた。あとは、帰宅するのみ。

ガシッ

!?

急に腕を掴まれる。ビックリした。
つか、勝手に触んな。気持ち悪いな。
知らない男に触れられるって痴漢じゃなくて?

いかにも、人間不信らしく感情が動く。
吐き気こそしないが気持ちのいいものではない。

「あと、1つ聞きたいことがある」

首をかしげる。なにが聞きたいんだ。この人。

「これは、練習の後に聞く」

いやいや、今すぐ言って欲しいのだが。

「それまで待ってろ」

どどどこで?

「体育館のギャラリーでだ」

感情を読まれたように吉川君が喋るので私は一瞬、ビックリした。

何故に?まぁ、いいや。
メモ帳の恩もあるし、教科書でも読んでおこっと。

こうして、私は体育館へ入りギャラリーでバスケ部の練習が終わるまで吉川君を待つことにした。
< 8 / 150 >

この作品をシェア

pagetop