冷血上司の恋愛論
とんぼ返りまでして仕事したのに、退社した女を思い出しため息が出た。


次に来る女もどうせ同類だろう。期待などしないが俺の仕事量を増やさない程度なのがいい。


そんなことを考えていた翌日、出社した俺は、朝のミーティングで心を乱された。


「はじめまして。藤井万利乃です。縁あって此方にお世話になります。設計士さんのサポートになれるよう頑張りますので、宜しくお願いします」


榊部長の隣に、どう見てもあの時一夜を共にした女が立ち挨拶をしていた。


名前を今、初めて知り、可愛い名前だなと思ってしまったことに動揺しつつ、課長の俺が先陣きって挨拶をしなければならない。


「藤城悠斗。此処の課長だ。厳しいことを言うこともあるが宜しく頼む」


目があった女、藤井は、少し驚きつつも宜しくお願いしますと小さく頭を下げる。


ヤバいな。まさか同じ都内に住んでいるとは思ってもみなかったし、まして、一緒に仕事をするようになるとは。
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