冷血上司の恋愛論
「いいか?くれぐれも藤井を泣かすような事するなよ。専務に伝わると後々面倒になること忘れるな」


念押しされる程に信用されてないのか、俺は。


「藤井は専務の女ですか?」


いつもなら決して知ろうともしないことを無意識に問う。


「珍しいこともあるもんだな。藤城が気にするなんて。俺もよく知らない。ただ、人事部の話だと藤井は秘書の資格も持っている。それなのに、手元に置いて置ける秘書にしなかったんだと」


「手元に置くと女関係がバレるからじゃないですか?」


社の跡取りで今流行りのアラフォーときている。独身で男の俺から見てもそこそこイケメン。


それがモテないわけがない。女にだらしないことをのぞけば、文句のつけようがない専務だ。


「気になるなら本人に聞けば、藤城なら怖がり教えるかもな。セクハラだと訴えられる覚悟があればの話だが」


ハハハと笑いながら会議室を後にした部長の背中をひと睨みして俺も会議室を出た。
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