冷血上司の恋愛論
駄目だ。言い出したら口が止まらない。結局聞いてしまう。藤井を追い詰めたいわけじゃないのに。彼氏でもないのに、独占欲有りすぎだ、俺。


こんなことでは、上司として嫌われるよな。


だが、藤井は気にしていないようですぐに口を開いた。


「私の、…やっぱり課長でも、言えません!誰にも言うなと言われているので。ただ、信じてもらえないかもしれませんがそういう関係ではありません。これからも」


「そういう関係とは?」


分かりきったことを聞き返したのは、藤井に俺とのそういう関係を思い出して欲しいから。


どっちが公私混同しているのかって。これからクライアントのところに行くのに情けない。


「意地悪しないで下さい」


反省していた俺の耳に小さな戸惑いを含んだ声は、本当にあの時の女だろうか?


気の強さなど微塵にも感じられない。


もう少し話をしたいのだが生憎、クライアントの店はすぐ近くだ。


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