隣の男子の落とし方。


『……………聞いてないんですね。


間宮くんは今日……、美波ちゃんと帰るんですよ………っ』


…え?


少し言いにくそうに言葉を止める彼女は

目線を地面に落とした。


『“佐伯美波”?』


『………そうです』


桜菜はさっきまで黙ってたけど、

ここにきてやっと口を開いた。


なんで佐伯さんは、名前ばかり私の前に出すんだろう。


こんなにちらつかせないでも、いいじゃないですか。


『………美波ちゃん、言ってましたから

“また、近づきたくなった”って』



近付きたくなったってなに??


(なにそれ…なにそれ……っ!)


私には言葉の意味がさっぱり分からなかった。










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