ぼくたちはあいをしらない
「朝のニュースです――」
病院の食堂室に設置されているテレビからニュースのアナウンサーの声が茂の耳に入る。
その内容は、こうだった。
小学生1年生の子どもが、次々と果物ナイフで友人らを傷つけ殺害しその後、自身も自殺した。
生き残ったのは同じく小学1年生の男の子ひとりだけだという茂にも心当たりあるようなニュースだった。
「このニュース匂いますね」
南が、そう言うと百寿が味噌汁をすすったあと言葉を放つ。
「気にするな」
「もしかしたら、能力者かも知れませんよ?」
「だろうな……
だが、俺たちの管轄外だ」
「かんかつ?」
聞きなれない百寿の言葉に茂は首を傾げる。
「今回の事件の担当じゃないってことだ」
百寿が、そう言うと茂が尋ねる。
「担当じゃなかったら興味持ったらダメなの?」
「大人の世界は、色々複雑なんだ」
「ふーん」
百寿の言葉に茂は無理やり納得させられる。
納得できるものではない。
だが、自分が納得しようがしまいがそれ以上の説明はしてくれないだろう。
幼いながらも茂はそう考え、納得した振りをした。
だけど、納得出来ないモノもいた。
「納得できません!
私は、第二の茂くんを出したくないんです!
救える命は、救いたいです!」
「茂は立派じゃないか?
真面目で我慢強くて少し泣き虫なところもあるが、芯はしっかりしている」
「そうですけど……
もしかしたら、人を殺していたのかもしれないんですよ?
そして、殺されてたかもしれません」
「若いな。
俺たちは俺たちが護れる範囲で護るしかない」
「……そうですけど」
「落ち着け、南。
味噌汁が冷めるぞ?」
「なんか先輩って冷たいですね」
「こうでなければこの世界は生きていけないさ……
能力者に目覚めたときから俺はこうであろうと決めたからね。
お前もそろそろ覚悟を決めろ」
「冷たくなる覚悟ですか?」
「冷静になる覚悟だ。
今回の場合、相手の能力もわからない状態で突入したらどうなる?
最悪死ぬぞ?」
百寿の言葉に、南は口ごもる。
死んでも護りたい生命がある!
そう言いたかったが言えなかった。
病院の食堂室に設置されているテレビからニュースのアナウンサーの声が茂の耳に入る。
その内容は、こうだった。
小学生1年生の子どもが、次々と果物ナイフで友人らを傷つけ殺害しその後、自身も自殺した。
生き残ったのは同じく小学1年生の男の子ひとりだけだという茂にも心当たりあるようなニュースだった。
「このニュース匂いますね」
南が、そう言うと百寿が味噌汁をすすったあと言葉を放つ。
「気にするな」
「もしかしたら、能力者かも知れませんよ?」
「だろうな……
だが、俺たちの管轄外だ」
「かんかつ?」
聞きなれない百寿の言葉に茂は首を傾げる。
「今回の事件の担当じゃないってことだ」
百寿が、そう言うと茂が尋ねる。
「担当じゃなかったら興味持ったらダメなの?」
「大人の世界は、色々複雑なんだ」
「ふーん」
百寿の言葉に茂は無理やり納得させられる。
納得できるものではない。
だが、自分が納得しようがしまいがそれ以上の説明はしてくれないだろう。
幼いながらも茂はそう考え、納得した振りをした。
だけど、納得出来ないモノもいた。
「納得できません!
私は、第二の茂くんを出したくないんです!
救える命は、救いたいです!」
「茂は立派じゃないか?
真面目で我慢強くて少し泣き虫なところもあるが、芯はしっかりしている」
「そうですけど……
もしかしたら、人を殺していたのかもしれないんですよ?
そして、殺されてたかもしれません」
「若いな。
俺たちは俺たちが護れる範囲で護るしかない」
「……そうですけど」
「落ち着け、南。
味噌汁が冷めるぞ?」
「なんか先輩って冷たいですね」
「こうでなければこの世界は生きていけないさ……
能力者に目覚めたときから俺はこうであろうと決めたからね。
お前もそろそろ覚悟を決めろ」
「冷たくなる覚悟ですか?」
「冷静になる覚悟だ。
今回の場合、相手の能力もわからない状態で突入したらどうなる?
最悪死ぬぞ?」
百寿の言葉に、南は口ごもる。
死んでも護りたい生命がある!
そう言いたかったが言えなかった。