ぼくたちはあいをしらない
 肉で腹を満たされた茂たちは、帰りに百寿からコンビニでアイスクリームを奢ってもらった。

「アイスくらい焼肉屋で頼めばよかったものを……」

 博士が、そう言うと百寿が小さく笑いタバコに火をつける。

「アイスは、コンビニで買うのが楽しいもんさ」

「スーパーで買ったほうが、安いですよ?」

 南の言葉に百寿が、ため息をつく。

「気分はコンビニの方がリッチな気分になれる。
 それにコンビニ限定のアイスもあるからな……」

「南お姉ちゃん、このアイス美味しいよー」

 みゆきが、そう嬉しそうに笑う。

「そうですね。
 アイスは美味しいですね」

 南が一呼吸入れてそう言った。

「と言うか、僕まで呼ばれて本当によかったのか?」

 忠雄が申し訳無さそうに博士の方を見る。

「問題ないさ。
 俺の給料はてめぇらの小遣いの十倍以上あるからな!」

「いいなぁ……
 小遣い十倍……」

 美楽が言葉をもらす。

「ってか、社会人だからそれは当たり前だよね」

 女の子がゆっくりと言葉をもらす。

「柚子お姉ちゃん!
 社会人ってそんなに給料貰えるの?」

 みゆきが、目を丸くさせて驚く。

「私のお小遣いが、一ヶ月5000円だから十倍って言えば50000円。
 社会人でフルタイムで働いたら最低でも13万円は、稼げるはず……
 しかも、博士くんは役職手当もつくからもっとあるかな」

 柚子と呼ばれる少女がそう答えた。

「俺も早く働きたいな」

 達雄が、そう言うと百寿が達雄の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「働くにはお前らは、あと10年早いな。
 16歳になったらバイトして小遣いを稼げばいい」

「僕も博士みたいに特殊課で働けないのか?」

 達雄の問いに百寿が答える。

「今のままでは無理だな。
 だが、達雄。
 お前の能力、Q&Aは素晴らしい。
 頑張っていればそのうち入れるようになるだろう」

「どう頑張ればいいんだ?」

「勉強だ」

 百寿が、そう言うと達雄が口をとがらせる。

「大人ってそうやってすぐに勉強、勉強ッて言うよな。
 勉強ってそんなに重要なのか?」

 達雄の問いに南が答える。

「勉強は大事ですよ。
 私も百寿先輩も、課長もいっぱい勉強して警察に入ったんですよ。
 課長もアメリカの大学を卒業してますからね」

「アメリカの大学……
 凄い……英語ペラペラだ」

 静香がぼそりとそう言った。

「まぁ、産まれはアメリカだからな。
 その辺は、問題ない!」

「今度英語を教えてもらおうかなー」

 柚子が、そう言うと博士がうなずく。

「いいぞ。
 どんとこい」

 博士は、そう言うと茂は、立ち上がった。

「僕にも勉強を教えてください!」

「ああ。
 お前もどんとこい!
 達雄たちもどんとこい!」

「ありがうございます」

 茂は、ペコリと頭をさげた。
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