ぼくたちはあいをしらない
それを遠くから見つめる少年がいた。
少年は、ため息をつくと少しさみしそうな目をしていた。
少年の名前は、斎藤 一。
中居 柾の親友のひとりだ。
「お前も行きたいんじゃないのか?」
一にそう声をかけたのは、忠雄だった。
「資格がないから」
一は、忠雄の言葉に力なくそう答えた。
「友だちに資格とかいるのか?」
忠雄の言葉が優しく響く。
「友だちだからこそ、資格がいるんだよ」
「どんな資格だ?」
「僕があの場所にいたら、もしかしたら麻友ちゃん死ななかったかもしれない」
「どういうことだ?」
「僕の能力はゲート。
物体を好きな場所に移動することが出来る。
だから、麻友ちゃんが殺される瞬間……
3秒……うんん1秒あれば助けれたと思う。
だから、あの時あの場所にいなかった僕はあそこに行く資格が無いんだ」
一が、小さく答えた。
柾と茂は達雄たちと合流した。
そして少数から賑やかな団体になる。
「1秒か……
たかが1秒、されど1秒」
忠雄が、そう言って空を見上げる。
「え?」
一が、小さく顔を上げる。
「僕たち能力者にとって1秒は、遅すぎる。
それに万が一、今回救えたとしても次は救える自信あるのか?
永遠に助けることが出来るのか?
そこまでの力が自分にあると思うのか?」
忠雄の言葉が、一にずしりと響く。
「そうだけど……」
「自分を責めたいのはあそこにいるヤツら全員がそうだ。
僕もそうだ。あの時あの場所にいたら助けれたかも知れない。
そう思うのは、人ととして当たり前のことなんだ。
だから、一。
お前はお前を虐めるな……
お前はお前の償い方で償え」
「どうやって償えばいいの?」
一が、そう言うと忠雄が一の目をしっかりと見る。
そして、ゆっくりと言葉を放つ。
「生きろ。
それが、亡き人に送る償いだ。
生きろ。
それだけが、亡き人に送る贖罪だ。
僕は、命ずる。
お前に生きろと……」
忠雄の目が、静かに光る。
「生きればいの?」
「ああ。
僕は今、能力を使った。
お前は、絶対に生きるんだ」
忠雄の言葉に一は、小さくうなずく。
「……うん」
「だったら、今度はあいつらの輪に入って来い」
「え?」
「子どもの仕事は遊ぶことだ。
どうして遊びが仕事かわかるか?
子どものころ遊ぶかどうかで円滑なコミュニケーションを取れるかどうかが――」
忠雄が、そこまで言いかけたとき南が現れる。
「難しい話してもわからないと思いますよ?」
「南さん……?
どうしてここへ?」
「どうしてって、一応茂くんたちの護衛が仕事ですからね」
「そうなの?」
一が、目を丸くさせて驚く。
「はい、って一くんには知らせていませんでしたね」
南が、小さく笑う。
「南さん、教えてくれ。
どうして麻友が狙われた?」
南は、首を横に振った。
「わかりません」
「本当に?」
「はい」
忠雄は、少し間を開けてから言葉を放つ。
「信じますね」
「はい」
南が、小さくそして切なくうなずく。
「はじめー」
柾が、一を呼ぶ声が聞こえる。
「柾くん……」
一が、少し驚いた表情で柾を見る。
「サッカーしようぜ!
お前、キーパーな?」
「……うん」
一が、小さくうなずいた。
目には涙が少し浮かんでいた。
「斎藤くん、どうして泣いているの?」
茂の言葉に一は首を横に振る。
「泣いてないよ。
大丈夫。ありがとう」
一は、涙を拭って小さく笑う。
「お前ら仲良く遊べよ!」
忠雄が、そう言うと茂たちは元気よく返事をしてサッカーボールを蹴って遊びはじめた。
平穏は、ゆったりと始まろうとしていた。
少年は、ため息をつくと少しさみしそうな目をしていた。
少年の名前は、斎藤 一。
中居 柾の親友のひとりだ。
「お前も行きたいんじゃないのか?」
一にそう声をかけたのは、忠雄だった。
「資格がないから」
一は、忠雄の言葉に力なくそう答えた。
「友だちに資格とかいるのか?」
忠雄の言葉が優しく響く。
「友だちだからこそ、資格がいるんだよ」
「どんな資格だ?」
「僕があの場所にいたら、もしかしたら麻友ちゃん死ななかったかもしれない」
「どういうことだ?」
「僕の能力はゲート。
物体を好きな場所に移動することが出来る。
だから、麻友ちゃんが殺される瞬間……
3秒……うんん1秒あれば助けれたと思う。
だから、あの時あの場所にいなかった僕はあそこに行く資格が無いんだ」
一が、小さく答えた。
柾と茂は達雄たちと合流した。
そして少数から賑やかな団体になる。
「1秒か……
たかが1秒、されど1秒」
忠雄が、そう言って空を見上げる。
「え?」
一が、小さく顔を上げる。
「僕たち能力者にとって1秒は、遅すぎる。
それに万が一、今回救えたとしても次は救える自信あるのか?
永遠に助けることが出来るのか?
そこまでの力が自分にあると思うのか?」
忠雄の言葉が、一にずしりと響く。
「そうだけど……」
「自分を責めたいのはあそこにいるヤツら全員がそうだ。
僕もそうだ。あの時あの場所にいたら助けれたかも知れない。
そう思うのは、人ととして当たり前のことなんだ。
だから、一。
お前はお前を虐めるな……
お前はお前の償い方で償え」
「どうやって償えばいいの?」
一が、そう言うと忠雄が一の目をしっかりと見る。
そして、ゆっくりと言葉を放つ。
「生きろ。
それが、亡き人に送る償いだ。
生きろ。
それだけが、亡き人に送る贖罪だ。
僕は、命ずる。
お前に生きろと……」
忠雄の目が、静かに光る。
「生きればいの?」
「ああ。
僕は今、能力を使った。
お前は、絶対に生きるんだ」
忠雄の言葉に一は、小さくうなずく。
「……うん」
「だったら、今度はあいつらの輪に入って来い」
「え?」
「子どもの仕事は遊ぶことだ。
どうして遊びが仕事かわかるか?
子どものころ遊ぶかどうかで円滑なコミュニケーションを取れるかどうかが――」
忠雄が、そこまで言いかけたとき南が現れる。
「難しい話してもわからないと思いますよ?」
「南さん……?
どうしてここへ?」
「どうしてって、一応茂くんたちの護衛が仕事ですからね」
「そうなの?」
一が、目を丸くさせて驚く。
「はい、って一くんには知らせていませんでしたね」
南が、小さく笑う。
「南さん、教えてくれ。
どうして麻友が狙われた?」
南は、首を横に振った。
「わかりません」
「本当に?」
「はい」
忠雄は、少し間を開けてから言葉を放つ。
「信じますね」
「はい」
南が、小さくそして切なくうなずく。
「はじめー」
柾が、一を呼ぶ声が聞こえる。
「柾くん……」
一が、少し驚いた表情で柾を見る。
「サッカーしようぜ!
お前、キーパーな?」
「……うん」
一が、小さくうなずいた。
目には涙が少し浮かんでいた。
「斎藤くん、どうして泣いているの?」
茂の言葉に一は首を横に振る。
「泣いてないよ。
大丈夫。ありがとう」
一は、涙を拭って小さく笑う。
「お前ら仲良く遊べよ!」
忠雄が、そう言うと茂たちは元気よく返事をしてサッカーボールを蹴って遊びはじめた。
平穏は、ゆったりと始まろうとしていた。