ぼくたちはあいをしらない
「貴方たちの能力は、戦闘向きじゃないでしょ?
 勝てる見込みはあるのですか?」

 南が、そう言うとみゆきがさらに胸を張る。

「茂には勝也がいるもの!
 大丈夫よ!」

「念の為に言っておくが……
 小十郎のナイフを使う技術は健在だからな。
 勝てる見込みは五分五分だ」

 百寿が、そう言うとみゆきが少し怒った口調で言葉を出す。

「そんなのやってみないとわかんないじゃないの!」

 それを聞いた百寿は、ため息を付き達雄の方を見る。

「Q&A」

 そして、静香の方を見る。

「瞬間記憶能力」

 次に、みゆきの方を見る。

「アーティスト」

 そして、百寿はもう一度ため息をつく。

「茂の場合、ドレインで得た能力は、未来を見る目だけ。
 勝也の身体能力は優れているが、小十郎に通用するかといえば……
 答えは、NOだ」

「う……」

 みゆきが口ごもる。

「まぁ。
 死なない程度にがんばれ」

 百寿が、そう言ってニッコリと笑った。
 それに対して、茂たちのテンションは下がる一方だった。

「さ、早く飯食って学校に行って来い。
 終わる頃にはゆかりさんと万桜ちゃんが、ここに来る。
 暫く寝泊まりするからよろしくな!」

 百寿は、そう言って味噌汁をすする。
 南は、無言で紅茶をすする。

 その場には、ふたりのすする音が響いた。
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